USB切替器の遅延をオシロスコープで確認してみました

ゲーミング用途でUSB切替器を使う際には、遅延が気になりますよね。
今回はオシロスコープUSB切替器の遅延を確認してみました。

目次

使ったUSB切替器

GEEKY Fab. で作っているゼロ遅延USB切替器を使いました。

遅延をオシロで確認してみた

こちらがその結果です。

オシロはSIGLENTの100MHzのやつ使ってます。

シグレント(SIGLENT) SDS1104X-U スーパー蛍光体オシロスコープ ライトグレー 100MHz 4チャンネル 【日本正規輸入品】

CH1(黄色)が入力側(PC側)、CH2(紫色)が出力側(デバイス側)ですが、ほぼ重なってますね
波形を見る限りは遅延がなさそうに見えます。

それもそのはずで、こちらのデータシートの通り、スイッチングICによる伝播遅延は0.25nsとなっています。
これはオシロの最小分解能3.5nsより一桁以上短いので、視覚的には確認できなくて当然です。

https://www.ti.com/jp/lit/ds/symlink/ts3usb30e.pdf

0.25nsってどれくらいの遅延?

じゃあ、0.25nsってどれくらいの遅延なのかが気になりますね。
これを具体的にイメージするために、電気信号の伝わる速さを考えてみましょう。

電気信号が基板上を伝わる速さは光の速さの1/2くらいになります。

参考サイト:

ということは0.25nsとは、
    3×108 [m/s] × 1/2 × 0.25 [ns] = 0.0375 [m] = 3.75 [cm]
の距離を電気信号が進む時間になります。
例えばUSBケーブルを3.75cm延長した程度の遅延が加わるってことです。

ケーブル3.75cm延長した程度なら影響がなさそうなことは感覚的にわかりますね。

結局のところ0.25nsの遅延はUSB通信に影響を与えるのか

実際のところどうなんでしょうか?
本当に影響はないんでしょうか?
では、USB規格の観点から考えてみましょう。

遅延を気にするようなマウスやゲームパッドなどのUSB-HID デバイスの入力データは、PCが決まった時間で周期的に読み取る仕組みです。
この周期はUSB規格ごとに下表の最短値が規定されています。

デバイス速度最短周期
Low-Speed 1.5 Mbps10 ms
Full-Speed 12 Mbps1 ms
Hi-Speed 480 Mbps125 µs

最も早い規格でも125μs=125,000nsです。
125,000ns間隔の読み取りに対して、0.25nsの遅延ですから、実質無視できるレベルの遅延です。

そもそも、125μsで通信するマウスやゲームパッドはハイエンドゲーミングデバイスのごく一部で、通常はLow-Speedなので10ms間隔となります。

ということで、遅延ゼロ

最後に

今回はUSB切替器の遅延について検証しました。
オシロスコープで波形を測定したところ、波形がほぼ重なっており遅延がないことが確認できました。
厳密には0.25ns程度の遅延がありますが、ゲーミング用途では実質的に影響がないことも確認できました。

結論:遅延ゼロ!

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