
ゲーミング用途でUSB切替器を使う際には、遅延が気になりますよね。
今回はオシロスコープでUSB切替器の遅延を確認してみました。
使ったUSB切替器
GEEKY Fab. で作っているゼロ遅延USB切替器を使いました。

遅延をオシロで確認してみた
こちらがその結果です。
オシロはSIGLENTの100MHzのやつ使ってます。

CH1(黄色)が入力側(PC側)、CH2(紫色)が出力側(デバイス側)ですが、ほぼ重なってますね。
波形を見る限りは遅延がなさそうに見えます。
それもそのはずで、こちらのデータシートの通り、スイッチングICによる伝播遅延は0.25nsとなっています。
これはオシロの最小分解能3.5nsより一桁以上短いので、視覚的には確認できなくて当然です。

0.25nsってどれくらいの遅延?
じゃあ、0.25nsってどれくらいの遅延なのかが気になりますね。
これを具体的にイメージするために、電気信号の伝わる速さを考えてみましょう。
電気信号が基板上を伝わる速さは光の速さの1/2くらいになります。
参考サイト:
www.macnica.co.jp
ということは0.25nsとは、
3×108 [m/s] × 1/2 × 0.25 [ns] = 0.0375 [m] = 3.75 [cm]
の距離を電気信号が進む時間になります。
例えばUSBケーブルを3.75cm延長した程度の遅延が加わるってことです。
ケーブル3.75cm延長した程度なら影響がなさそうなことは感覚的にわかりますね。
結局のところ0.25nsの遅延はUSB通信に影響を与えるのか
実際のところどうなんでしょうか?
本当に影響はないんでしょうか?
では、USB規格の観点から考えてみましょう。
遅延を気にするようなマウスやゲームパッドなどのUSB-HID デバイスの入力データは、PCが決まった時間で周期的に読み取る仕組みです。
この周期はUSB規格ごとに下表の最短値が規定されています。
デバイス速度 | 最短周期 |
---|---|
Low-Speed 1.5 Mbps | 10 ms |
Full-Speed 12 Mbps | 1 ms |
Hi-Speed 480 Mbps | 125 µs |
最も早い規格でも125μs=125,000nsです。
125,000ns間隔の読み取りに対して、0.25nsの遅延ですから、実質無視できるレベルの遅延です。
そもそも、125μsで通信するマウスやゲームパッドはハイエンドゲーミングデバイスのごく一部で、通常はLow-Speedなので10ms間隔となります。
ということで、遅延ゼロ!
最後に
今回はUSB切替器の遅延について検証しました。
オシロスコープで波形を測定したところ、波形がほぼ重なっており遅延がないことが確認できました。
厳密には0.25ns程度の遅延がありますが、ゲーミング用途では実質的に影響がないことも確認できました。
結論:遅延ゼロ!
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