安くて個人でも買える中華製卓上リフロー炉としてT-962が有名です。
T-962はシリーズ展開されており、T-962AやT-962C、上位モデルのT-937などがあります。
私自身も購入を検討していたのですが、どうも情報がまとまっておらず、どれを買えばいいのかわかりません。
このページは私が購入を検討する際に、メーカー(Puhui electric technology)のHPや直販サイト、様々なレビュー記事から集めた情報をまとめたページです。
この記事はメーカーのサイト以外に次の記事を参考にしました。
T962 IR reflow oven rework – owenduffy.net
T-962A Reflow Oven Modifications | Details | Hackaday.io
puhui T-937M experience – Page 1
Improving a T-962A Reflow Oven Part1 – YouTube
T-962 Reflow oven upgrade and review – YouTube
中国製の激安リフロー炉を改造してみた件 – VIVITABLOG
中華格安リフロー炉 PUHUI T-962 – あろえのメモ帳
全機種の比較表
Puhuiが取り扱ってる卓上リフロー炉6種を比較表にまとめると次のようになります。
Model | T-962 | T-962A | T-962A+ | T-962C | T-937 | T-937M |
製品サイズ (横x奥x高) [mm] |
380 x 240 x 380 | 510 x 450 x 330 | 600 x 560 x 330 | 760 x 600 x 350 | 410 x 380 x 280 | 480 x 470 x 290 |
オーブンの庫内サイズ [mm] | 180 x 235 | 300 x 320 | 370 x 450 | 400 x 600 | 300 x 310 | 315 x 375 |
重さ [kg] | 8 | 15 | 18 | 28 | 18 | 22 |
消費電力 [W] | 800 | 1500 | 2300 | 2800 | 2300 | 3300 |
温度制御範囲 [℃] | 0 – 280 | 0 – 280 | 0 – 350 | 0 – 280 | 0 – 350 | 0 – 350 |
PCでのプロファイル編集 | 不可 | 不可 | 可 | 不可 | 可 | |
加熱方式 | 赤外線 | |||||
空気循環用ファン | なし | あり | ||||
参考価格 @alibaba.com | $150 | $260 | $370 | $420 | $460 | $560 |
表のとおり、Puhuiの卓上リフロー炉は大きくT-962シリーズとT-937シリーズに分けられています。
最も重要な違いは庫内に空気循環用のファンを搭載しているかどうかです。
つまり、
- T-962シリーズは温度制御機能付きのオーブントースター
- T-937シリーズは温度制御機能付きのコンベクションオーブン
ということですね。
購入をおすすめしない理由
いろいろなレビュー記事を読んだ結果、私は購入を見送ることにしました。
次の3点からおすすめもしないです。
① 安全性に懸念がある
多くのレビュー記事で書かれていますが、この製品はアースを適切にとれていないことがあるようです。
さすがに安全性に懸念があるような製品を使用することは憚られます。
改造してリフロー性能が出るようになったとしても、他にどんな地雷があるのか怖くて使えません。
② 改造が必要
アースが正常に取れていないため、少なくともアース線部分の改造は必須です。
また、ほかにもいろいろと問題があるようで、改造によってそれらを改善するのが必要になってくるようです。
問題点と対策をまとめると、下記表の感じです。
問題点 | 対策 |
---|---|
塗装筐体にアース線が留められているためアースが正常に取れていない | 塗装を削る |
温度分布のばらつきが大きい (特にT-962シリーズ) | 攪拌ファンを取り付ける ヒーター位置を調整する |
内部に紙テープが使われているため、煙とにおいが発生する | カプトンテープに巻き替える |
制御がいまいち | ファームウェアを書き換える |
ほかにも、精度を上げるために熱電対の冷接点を補償するとか、ファンがうるさいから取り換えるとか言った改造も紹介されてます。
あと、これら卓上リフロー炉の定格はAC110Vのため、日本で使用する場合は昇圧しないとちゃんとヒーターの実力が出せないんですよね。
これらの対応をすることを考えたら、もうオーブントースター買って改造する方が楽で安いんじゃ…って気持ちになりますよね。
安全性の面でも市販のオーブントースター改造したほうがいい気もしますしね。
あと、攪拌ファンを取り付ける様子をyoutubeで見ると断熱材に電ドリで穴開けてたりしますが、断熱材にグラスウールが使われているようなので、舞い散って危険です。
③ 高い
この卓上リフロー炉の一番の売りは安いことです。
ただ、リフロー炉としては激安ですが、似た仕様のオーブントースターと比べた場合はどうでしょうか。
オーブントースターとしては激高ですよね。
例えば、サイズ感だけを見ればT-962は下記のトースターの庫内サイズ(258×190)より少し小さいくらいです。
[山善] オーブントースター トースト 2枚焼き 温度調整機能付き 1000W ホワイト YTN-C101(W) [メーカー保証1年]
T-962Aにしても庫内サイズは300×320なので、ちょっと大きめのオーブントースターくらいしかないですね。
例えば、次のリンクのタイガー製オーブントースターが325×260です。
タイガー魔法瓶(TIGER) オーブントースター うまパントースター レッド サイズ(約)35.4×34.4×24.2cm トリプルヒーター設計 KAE-G13N-R
とはいえT-962Aより大きいサイズのリフロー炉が必要なら、それだけで卓上リフロー炉を買う価値ありかもしれません。
消費電力に関しては、T-962は800Wしかなく、オーブントースターのほうがマシな始末。
加えて定格110Vに合わせてヒーターが作られてますから、日本の家庭用の100Vで使うともっと低いです。
T-962Aだと1500Wなので、ちょっと強めのオーブントースター程度でしょうか。
ちょっと強めでそこそこ大きいオーブントースターが$260(+送料$100くらい)といわれると、買わないなぁ。
結局買いませんでした
前述の3点が許容できなかったので、私は購入しませんでしたし、おすすめもしません。
そもそも、①の「アースを適切にとれていない」という点だけで買わない理由には十分ですが…
代わりとしてコンベクションオーブンを購入し、そちらでリフローと改造に挑戦してみることにしました。
ちなみに私が購入したのはシロカ製のコンベクションオーブンSCO-601です。
siroca ミニノンフライオーブン SCO-601 ホワイト
決め手は次の4点です。
- コンベクションオーブンなので庫内の温度分布が一定になることを期待
- 庫内の高さが低いため容量が小さく、温度を短時間で上げやすい
- マイコン制御型じゃないため、改造が容易そう
- twitter上ですでに使用している方を見つけた
このコンベクションオーブンを用いたリフローと改造については、また別の記事で紹介できたらと思います。
それでも購入したい方へ (おまけ)
購入自体はまったくおすすめはしませんが、それでも購入したい方はAlibaba.comの直販サイトからの購入をおすすめします。
https://tech168.en.alibaba.com/
(上記の販売サイトはPuhui Technologyのホームページからもリンクされています。)
また、購入されたリフロー炉はそのまま使用せずに、アースの対策だけはしっかりと行ってください。
しかしながら、改造すればメーカーの保証外となりますので、そこらへんも理解の上で改造を行うようにしてください。
今回はこれで終わります。
おしまい。
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